写真から好みに合う絵画を推薦するウェブサイトを公開しました
近添研究室では、個人の嗜好をデータから推定し、その嗜好を模倣する人工知能の開発に取り組んでいます。この研究の一環として、当研究室の職員・丹羽が開発した、写真の評価から絵画の好みを予測する絵画推薦ウェブサイトを公開しました。
画面に表示される6点の写真について、それぞれ「自分ならいくら支払ってもよいと思うか」を入力することで、利用者の美的嗜好に合うと予測される絵画と、それらを所蔵する美術館を推薦します。

本サイトは、当研究室のPham助教と近添教授が2026年に発表した、美的嗜好の異なるカテゴリ間での共通性に関する研究と直接的に関連しています。この研究では、絵画、写真、顔画像に対する評価データを分析し、異なるカテゴリ間でも評価者同士の嗜好の類似性に一定の共通性がみられることを報告しました。こうした異なるカテゴリ間で美的嗜好を予測するという研究の考え方を応用し、写真の評価から絵画の好みを推定する推薦システムを実装しました。
使用する写真は、Murrayら(2012)が構築したAVA(Aesthetic Visual Analysis)データセットから選んだ400点です。本サイトでは、これらの写真について独自に収集した評価データを活用しています。また、評価に用いる写真の選択には、交差検証(LOPO:Leave-One-Participant-Out)を用いて、それぞれの写真が絵画の好みの予測にどの程度役立つかを推定しました。その結果に基づいて選ばれた上位200点の写真から、アクセスするたびに6点をランダムに表示します。
推薦には、過去の評価者との嗜好の類似性を利用したSoft RBF(Radial Basis Function:放射基底関数)という手法を採用しています。まず、利用者と過去の評価者の写真に対する評価を、それぞれの平均値とばらつきに基づいて標準化し、金額の絶対的な大きさではなく、どの写真を相対的に高く評価したかという好みのパターンを比較します。次に、RBFを用いて類似性を重みに変換し、好みの似ている評価者ほど大きな重みを与えます。こうして得られた重みに基づき、過去の評価者について推定された絵画の評価予測値を加重平均することで、利用者固有の評価傾向を推定します。これにより、約1万点の候補作品から好みに合う絵画を推薦するだけでなく、好みとは異なると予測される絵画も紹介します。
本サイトは、人それぞれ異なる美的嗜好をデータに基づいて理解し、予測する研究の成果を体験できるものです。専門知識がなくても利用できますので、ぜひお試しください。
ウェブサイト: https://zoe-scene.cloud.run
関連論文・参考文献
1. 異なる種類の対象間における美的嗜好の共通性に関する研究
Pham, T. Q., & Chikazoe, J. (2026). Cross domain consistency of aesthetic preference-driven social behavior. Frontiers in Neural Circuits, 20, 1793443.
https://doi.org/10.3389/fncir.2026.1793443
2. 写真データセット(AVA)の出典
Murray, N., Marchesotti, L., & Perronnin, F. (2012). AVA: A large-scale database for aesthetic visual analysis. 2012 IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), 2408–2415.


